大阪出身の私は約4年前から滋賀県長浜市の木之本という町に住んでいる。
元々都会育ちがゆえに田舎や自然への羨望があった。私の好きな映画(原作は漫画)の一つに東北地方のとある村の小さな集落を舞台にした「リトル・フォレスト」という物語がある。そこで描かれている主人公いち子が都会暮らしをやめて自給自足の田舎暮らしを始める。雄大な自然に囲まれた素朴な暮らしの中で四季折々の食材をつかった郷土料理を手早くこしらえる姿に憧れた。
漠然と、
「こんな暮らしいいな」
と思っていた。
そんな私は結婚をきっかけに縁もゆかりもなかった湖北で田舎暮らしを始めることになった。夫と出会ってすぐに結婚したこともあり、ほぼ知らない土地。
「どうやらこの地にも郷土料理があるらしい」
「昔から発酵食文化が根付いているらしい」
と知ったのは新しい暮らしが始まってから。
移住してから初めての冬に「みそ作りするから一緒に作る?」と声をかけてくれたのが、明楽寺の奥さんのノリコさん。地域の女性たちと「ブックカフェ すくらむ」を営み、郷土料理や発酵食を提供していた。
(後に、湖北の発酵食や郷土料理を詰め合わせた「オカンの発酵便」などを一緒に展開していく仲になる)
その冬からずっと私も毎年みそ作りを続けていて、冷蔵庫には自家製みそが常備されるまでに。
今年もみそを仕込んだ。素手で作業をする。それぞれが持つ常在菌も加わり、自分の味が出来上がる。
今年は玄米糀をつかうことにして少しアレンジ。
糀と塩を擦り合わせながら混ぜて、柔らかく茹でてすりつぶした大豆と合わせ手でこねる。丸めたら空気が入らないように常滑焼のツボに投げつけていく。
みそ作りでのこの一連の作業がすきだ。
最後は酒粕でふたをした。
手作りの発酵食は色々とアレンジして自分好みを探っていくことができるところが面白く、その年の気候や保管場所でも味の変化があらわれる。
まだまだフラフラ彷徨っている私の味。
「いつか木之本の立派なオカンになる」という思いだけを立派に掲げている。
季節ごとの発酵食や郷土料理を作る記録をこの場所に綴っていければと思う。
2月27日 曇り
「みそ」
倍糀みそを作る予定だったのに先輩オカンとのおしゃべりに夢中で配合を間違えた。
いつもうっかりしてしまう。先輩オカン曰く、「みそで失敗した人いないからなんとかなる」とのこと。出来上がるのは10ヶ月後くらいかな。玄米糀でのみそ作りは初めてなので、どんな味に仕上がるか楽しみである。
【材料】
・大豆 1000g
・玄米糀 1300g
・塩 580g
・酒粕(蓋に使用)
新米オカンの動向はインタグラムでも投稿しています。
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