日記「岡山うるるん滞在記」松浦すみれ

昨年に引き続き、今年も〝晴れの国〟岡山へ。
おかやま文学フェスティバル」にて、我らがイカハッチンメンバーのまさみさん(ひとり出版社・能美舎と2daysの参戦。
気ままな出張旅行が楽しすぎて、度々ハメを外す二人組。
旅の恥はかき捨てじゃい。徒然なるままに、今回の酔いどれ弾丸旅をここに記録しておこう。


3月8日はイベント前日、まさみさんの運転する車で午前10時頃に木之本を出立。サービスエリアに寄り道しつつ、平日の昼間だったからか車もスムーズに進んだ。


途中、私が激推しする宝塚北サービスエリアに寄り、二人して興奮。宝塚に縁のある手塚治虫、〝ベルサイユのばら〟などの関連グッズが満載。さらには宝塚歌劇団の華やかさを備えた美しい女子トイレは圧巻。女子はシャンデリアに花束が生けられたトイレだけでも覗きに行って。

そうこうして岡山へ、17時前に到着。会場となる本たちを運び込んで、一旦まさみさんとは解散。気づけば夕暮れの花金。こうなったら出かけるしかないじゃない。

まず足を向けたのは、私が岡山の居酒屋のなかでも激推しする「成田家栄町店」。
昨年、文学フェスで岡山滞在をしていた際に出会ったお店。ほろよいで通りすがり、私の酒呑みの嗅覚にひっかかり、思い切って飛び込んだらば、酒も肴も大将も最高だった。

1年ぶりの来店。あいも変わらず、岡山の地酒をはじめ、全国の地酒のラインナップが素晴らしい。いわずもがな、岡山名物「鳥酢」など、岡山ならではの肴と一品もたまらんのです。
ここの詳しい紹介は後日、私のコラム「宵々酒場で会いましょう」で心置きなく綴ることにする。

この後、まさみさんと合流してさらにヒートアップ。
そして気づけば千鳥足で近隣のスナック街へ。
たまたま入ったスナック「珊瑚」のママの包容力に呑んで呑まれて、消えゆく記憶と私の携帯…

翌日の朝、目が覚めると朝10時。飛び起きてイベントへ。
真っ白な顔したふたりで、昨日の記憶をたぐりよせるも私の携帯は見つからず。
夕方になって、なんとタクシー会社からスナックのママへ連絡が入り、手元に無事に帰ってきたときには涙ちょちょぎれ、反省しきりでした。
この日の文学フェスの懇親会で、ご心配をおかけした方々へ深く陳謝しつつ、二次会で再びスナック珊瑚へとお詫びがてら伺うという、なんとも恐ろしい酒呑みのサガ。

と、ここまで自戒をこめて、先に旅の恥を書き綴ってしまいましたが…

肝心のイベント「おかやま文学フェスティバル」の2日間は、今年も大盛況でした。
旧内山下小学校のレトロな校舎内を会場に、全国から個性豊かな出版元や書店員さんが集まるイベント。
岡山という立地もあってか、四国や中国地方の参加者も多く、滋賀の出版社というだけで珍しがっていただき、多くの方に足を止めて頂きました。

今回、私たちの「能美舎」ブースは2階の廊下角。
1日目をまさかの二日酔いで費やしてしまった私も、2日目は自著「日本酒ガールのほろ酔い蔵さんぽ」を気合いを入れて売りまくりました。
我らがイカハッチンプロダクションの「サバイブユートピア」も多くの方に手に取って頂きました。
他の書店さんが激推ししてくださったり、私も移住者です、です、などなど、興味を持った方々に直接購入いただけるのが、こういったイベントの醍醐味、作り手としての喜び。

あっという間の2日間、新しい出会いにも恵まれ、今後のことにも思いを馳せることができました。

そうそう、今回の岡山で出会った酒呑みさんたちから頂いた、有りがたい差し入れ。どちらも缶入りの岡山の地酒。「御前酒 菩提酛にごり酒」の珍しい缶入りと、「三光しぼりたて」のこちらも缶入り酒。どちらも関西では珍しい貴重な2本です。
なかでも「三光」は、自著を購入してくれた方が「うちの地元の酒を飲んで欲しくて」と、わざわざ近くの百貨店で買って、届けに戻って来てくださったもの。缶入りで生原酒の度数20%にも驚き。このご縁とご恩は一生忘れませんよ。

最後におまけでもう一箇所、おすすめスポットをご紹介。

会場近くにある「岡山禁酒会館」。
昭和の空襲を潜り抜けた数少ない建築遺産であり、一階はレトロな珈琲喫茶となっている。店内からガラス越しの奥庭に、岡山城の城壁の遺構が眺められる。

酒害相談所〟の看板が掛かる、なんとも酒呑みが震え上がりそうな館ではあるけれど、ここで珈琲を飲みながら街を走る市電を眺めたりして、まったりと反省会をするのが恒例となりました。

イベント後、たまたま岡山に立ち寄った友人とここで合流した際に、今夜飲む酒の話で盛り上がり、はっと気づいて声をひそめました。

はてさて、これでもだいぶと端折って綴った岡山の珍道中。
これからも時々、まさみさんの出店にご一緒する予定なので、なにかまた起こることでしょう。とほほ。
ふたりの旅路にも、乞うご期待あれ。

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この記事を書いた人

ルポ&イラストレーター。京都生まれ。淡い水彩画に文章を綴ったイラストエッセイなど、新聞連載をはじめ、雑誌・WEB等に寄稿。京都の〝お酒の神様〟を祀る神社にて巫女として奉職後、現職。著書に、酒蔵を巡り取材した「日本酒ガールの関西ほろ酔い蔵さんぽ」(2015コトコト刊)。日本酒にまつわる講座やイベント、ラベル制作などに携わる。現在、湖北と京都の二拠点生活。

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