「あ、面白いな」と思うと、徹底的に知りたい、やりたくなってしまう性分だ。
そう思ったが最後、あっという間に好きなものになる。
最初は野鳥。
東京とはいえ、雑木林や畑が近くにあるところで育ったので、シジュウカラ、メジロをはじめ冬になればツグミやジョウビタキも見かける。
きっかけは子どもの頃、両親に「あ、メジロだ」と言っているのをみて「パッとみて誰か(どの鳥か)わかるようになったらいいな」と思い、野鳥図鑑にかじりついた。
可愛いだけでなく、飛び蹴りに、くちばしで脳天を突くなどプロレスのような激しい鳥たちのケンカをみて「鳥にも性格とかあるのかな」と思って、どんどんハマっていった。
ランドセルを背負っていた頃、滋賀県は知らなくても、琵琶湖はオオワシがやってくる夢のようなところという認識はあった。
その次には、街道。
「昔、人も歩いたんだ」と思うと、江戸時代の人間になりきって、甲州街道も東海道も歩きたい。
坂本龍馬は何往復したのか、山賊も妖怪も出てきそうな山越えだなと思いながら、歩くのが楽しい。
中山道ならば木曽路なんか宿場でも山が迫ってくる感じがたまらなく、最高だ。
と、ついつい面白い、好きを思い出すだけで止まらなくなる。
「沼」とは、なんて的を得た表現かと思うが、こういう沼に一度ハマると抜け出すことはできない。
そもそも抜け出す気もなく、沼に沈みながら自ら掘りにもいくという狂気すらあるような気もする。
それに気がついてから、面白いと思った時点で「ここから先は戻れなくなるぞ」ともう一人の自分が羽交い締めして止めるようになった。
そうして「ほどほどに好き」にしておいたものたちが今や、仕事の気分転換に大いに活躍している。
野鳥好き、街道好き、ドライブ好き、お茶好き、史跡好き、祭り好き…枚挙に暇がない。
仏像に関わることを仕事としていて、仏像が嫌になることはないのだが、会いたいと思う仏像は予約が必要なので、パッと衝動的にお会いできない。
それに対するモヤモヤを解消するのにこれらの「ほどほどに好き」の活躍がめざましいのだ。
仕事の合間の移動時間もドライブ好きには楽しいし、赤信号を待っているときに視界に入ったツグミに「もう春だけどまだ帰らないのかい」と思ったりして、ほんの少し癒される。
そんな特別詳しくないけど、愛すべき「ほどほどに好き」なもの、ことたちのことは、あえてどこにも話すこともなかったので、イカハッチンで新たに始めたwebで書けるといいなと思うのです。